こんにちは、中村ゆずる(@yuzuru098)です。
『経営チームの強化を支援する』そんな活動を始めてしばらく経ちました。
そんな中で思うのが、「会社は社長で決まる」というのは少し違うな、ということ。
正確には「会社は経営チームで決まる」というのが自分の考えです。
起業当初の社長は経営に関するほとんどの役割を兼任することになりますし、それらの役割をチームとして分担することができるかできないのかも社長の力量だと言うこともできるので、会社は社長で決まるというのもあながち間違いではないのですが…。
社長一人の力で経営していて少し行き詰まりを感じた時、経営チームがあることにはあるが…なんていう時、機能している経営チームとは?と少し考えてみて欲しいなと思います。
経営に必要な役割
会社によって多少の違いはあれど、経営に必要不可欠な最低限の機能が3つあります。
マーケティング・営業
事業部門
バックオフィス
新しい顧客を発掘し、獲得する【マーケティング・営業】
顧客に対して商品やサービスなど自社の価値を届ける【事業部門】
会社を利益の出る体質にするために社内整備を行う【バックオフィス】
マーケティングと営業を分けたり、さらに研究開発部門があったり。事業部門も複数のセクションに分かれていたり。バックオフィスは総務・経理・人事に分かれることも。各会社によってさまざまな分類はあるかと思いますがまとめると概ねこんな感じになるのではないでしょうか。
これらに追加して、The経営者とも言える役割として中長期の構想をたて、短期の事業計画に落とし込み前述の3つの機能を統合し経営を前に進める役割があります。この役割は中長期の構想を立てることと短期の事業計画に落とし込み前進させることの2つに分けることもあります。トップとナンバー2の関係のようなイメージです。
中長期の構想を立てる役割を【ビジョナリー】、短期の事業計画に落とし込み、各機能を統合し前へ進める役割を【インテグレーター(統合者)】と呼ぶこともあります。
自社の経営に必要な役割は何があるか。どのような構造であれば良い経営チームとなれるか。それぞれの役割を誰が担うと良いか。経営チームを作る際はこういうポイントを押さえて考えてみると良いと思います。
機能している経営チームとは
自分は、機能している経営チームとは
- 全員でビジョンを共有している
- ビジョンを実現する推進力がある
- 問題をすぐに表に出すことができる(そして改善のアクションへ)
ということが言えると考えています。
全員に共有されたビジョン
よくあるダメな例として
- 全員に共有されていない
- 形だけ
- 複雑で理解しづらい
- 解釈がバラバラ
なんてことがあるんじゃないかと思います。ではどうすれば良いのか。
その前に、ビジョンの存在しない会社なんてないということは前提として知っておいて欲しいと思います。
ビジョンが無いように見える会社は、ビジョンが明確になっていないだけで、誰しも必ずビジョン(向かおうとしている方向、世界観、価値観)は持っている。そう考えて良いと思います。
その上で、
- 自社の中にあるビジョンを掘り起こす
- シンプルでわかりやすい言葉にまとめる
- 全員で共有する
というプロセスで、『全員に共有されたシンプルでわかりやすいビジョン』を完成させます。
ビジョンを実現する推進力
形だけのビジョン、とりあえず目の前の業務をこなすだけ、見ているのは目標となる財務指標だけ。
そんな状態だと、ビジョンを実現することはできません。
ビジョンを実現する推進力を生むためには、
- 役割と責任を明確にし
- 正しい人が正しいポジションにつき
- ビジョンを短期目標、行動に落とし込み
- 実行と振り返り・改善のサイクルを回す
ことが大切になります。
ちょっとそれるかもしれないですが、これは経営チームに限らず言えることだろうなと。
『責任が明確になっていなければ、そもそも責任を問うことはできない』ということ。
組織図のある会社は多いと思いますが、そこに役割や責任は明記されているでしょうか。おそらくそこまで完成された組織図のある会社は多くないのではと思います。
役割や責任が明確になった組織図で、それぞれのポジションにふさわしい人が担う。これもまた、きちんと意識して人事が機能していることはあまり多くないのかなと感じます。間違った人がそのポジションについている例は実際この目でも、SNS等でもよく見ます。
そして、実行フェーズでは中長期ビジョンを短期目標(単年目標)や四半期のマイルストーンに落とし込む力、そしていわゆるPDCA(振り返りと改善)する力が必要になります。
最近ではPDCAはもう古いなんて声もありますが、正直どうでもよくて、実行→振り返り→改善というサイクルが回るのであれば、標語的なものはなんでも良いかなと。
問題をすぐに表に出すことができる
最後に、問題をすぐに表に出すことができるということについて。
『健全性』ということもできるかもしれません。
心理的安全性という言葉が有名ですが、まさにそういうことなのかなと。問題に気づいたらすぐに言える環境、風土が作られているかどうかが重要ですね。
ちなみに、『アカウンタビリティ・ギャップ』という言葉があります。
これは、問題を特定してから議論するまでのタイムラグのことなんですが、このアカウンタビリティ・ギャップが短ければ短いほど良い。ということになります。
機能する経営チームを作るための第一歩
まとめると、経営チームが機能するためには
- ビジョン(シンプルでわかりやすく、共有されている)
- 推進力(ビジョンの分解、実行、振り返りと改善)
- 健全性(問題をすぐに表に出して議論することができる)
が大切だ。ということを書きました。もちろん全て満たしている状態が望ましいのですが、そうでない会社がまず何から手をつければ良いのか。
それは、推進力の強化です。
ビジョンは、明確になっていなくても必ずあります。推進力が弱い状態ではいくらビジョンを明確にし、共有したところで実行されずお飾りになってしまう危険性があります。
まずは、組織図を見直し(役割と責任も明確に)、単年目標から四半期目標、日々の行動への分解、実行→振り返り→改善のサイクルを回す習慣づけを行い、推進力の強化を行うことが最善です。
ただ、健全性に関しては並行して行う必要があるかもしれません。
実行→振り返り→改善のサイクルで、認識した問題が振り返りの場で表に出てこなければ改善の議論をすることができません。大事なのは言える空気・風土なので、そこは経営トップの役割になるのかもしれません。