こんにちは、中村ゆずるです。
「あれ?利益は出ているはずなのにどうして?」
そんな話を聞くことは少なくありません。
利益は十分に出ているはずなのに、思ったよりもお金が増えていない…。
シンプルに考えれば、70円で仕入れてきた商品を100円で売れば、利益は30円で、お金も30円増えているはず。ある条件を満たしていれば『利益=お金』になることもありますが、ほとんどの場合でそんなことはなく、利益とお金の増減にはズレが発生します。
『ずれ』が出るのはもはや当たり前で、この『ずれ』を把握し、管理できるようになることが大切だと言えるでしょう。
「あれ?利益はこれだけあるのに、お金は減ってない?なんで?」
そんな質問を久しぶりに受けましたので、少し考えてみたいなと。
利益は出ているのに…
実は、利益がどれだけ出ていようと、お金が減っていくということは珍しいことではありません。
現状で200万円の利益が出ている。しかしお金は200万円減っている。こうして見てみるとなんだか不思議に思えるかもしれません。
こういったことがもっと大きな規模(金額)で起こってしまうのも事実で、普段P/L(売上や経費、そして利益)ばかり見ていて手元のお金のことを見落としてしまうと大きな問題に発展してしまうことも…。
最悪倒産の危機にも陥ります。黒字倒産というやつですね。
利益とお金の増減がずれる原因
利益とお金の増減がずれる原因はいろいろありますが、大きく分けて2つ。
- 利益と比べてお金が多くなるずれ
- 利益と比べてお金が少なくなるずれ
- まだ払っていない経費がある(取引先への支払い、従業員の給料など)
- 前もってもらった売上がある(エステなどチケット制、年払い)
- 借入金の入金がある
- まだもらっていない売上がある(売掛金)
- 前もって払った経費がある(年一括払いなど)
- 借入金の返済がある
これらのバランスで、利益と比べてお金が多くなるずれが多ければ利益よりも多くお金が増えている状態になりますし、逆であれば利益よりもお金が増えないことになります。
ただし、このずれはあくまでも時間差の問題です。このずれをいかにうまく活用してもお金を増やせるわけではありません。今のずれはすぐに解消されます。そしてまた新しいずれが生まれます。その繰り返しが常にあるだけです。
放置してはいけないズレもある
ずれを把握し、管理するとはどういうことなのか。なぜ把握し、管理する必要があるのか。それは、放置してはいけないずれが発生している可能性があるからです。
通常サイクルの売掛金や買掛金、未払金はすぐに解消されますし、銀行の借入金などに関するずれは解消しようがないのでいいのですが、
- 理由不明の前受金
- 理由不明の前払金
- 長期滞留している売掛金
- 返済余力を無視した代表者への返済
など、放っておいては解消されないずれが発生することも少なからずあります。
- 理由不明な項目があれば理由を見つけ出す
場合によっては税理士へ相談、実態に合わせるための処理を行う - 売掛金の滞留先にコンタクトを取るなど対策を立てる
- 返済余力に合わせた返済を考える
など検討する必要があるでしょう。
また、問題のあるずれがなかったとしても、通常起こり得るずれだけで資金繰りを圧迫するようであれば、根本的な収支計画、資金繰り計画から見直す必要があるかと思いますので、気になる方はお問い合わせください。
資金繰りを意識していなければそもそも気づくことができない
黒字倒産の原因にもなる資金繰り。意外と見ていない人も多い印象を受けます。
というのも、売上、そして売掛金の回収が順調で借入がない(もしくは利益で十分賄える返済額である)場合そんなに気にしなくてもいいんですよね。
ただ、そんなこと言ってられるほど余力のないところであっても(余力がないからこそ?)売上にばかり目がいって資金繰りを蔑ろにしているケースも。
ぜひ、資金繰り表(未来予測も含めて)を作成して、資金の流れを把握し、問題がないかのチェックをして見て欲しいと思います。
「資金繰り表なんて作っている暇なんてないよ!」そんな人はせめて現預金残高の増減だけでもチェックしましょう。利益と比べてどうですか?問題に心当たりはありませんか?本当は気付いていませんか?
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